さまざまな場面で活躍する雨量計の基礎知識

気象観測システムのフィールドジョイTOP > コラム > さまざまな場面で活躍する雨量計の基礎知識

さまざまな場面で活躍する雨量計の基礎知識


雨量計とは何か



よく気象情報をニュースで見ると「1時間に○○ミリの雨が降りました」とお天気キャスターが報道しています。この雨の量をどのようにして計測しているかですが、雨量計を用いています。文字通り、雨の量を量るための機器のことです。多少メーカーや機種によって異なるところもありますが、基本的な測定方法は漏斗型の受水器を使って雨水を拾っていきます。そして雨の量を量る機器のところに雨水を導いていきます。そこに溜まった量を量ることで、降水量を求められます。

受水器ですが、日本では一般的に直径20cmのものが使われます。寒冷地の場合、冬場になると雪やあられが観測されることも往々にしてあります。このような氷の結晶なども降水量として計測するために、受水器のところに電熱線や加熱油を使ったヒーターを装備しています。こうすることで雪やあられが降って受水器に触れると溶けて、水として計測機の方に流れていきます。受水器の入り口のところには、小型の防風柵を取り付けているものもあります。この柵のことを「助炭」というのですが、これは受水器に入る直前や直後の雨水や氷の結晶が風によって飛ばされて、正確な降水量を計測できない事態を防ぐためです。助炭という言葉は、囲炉裏や火鉢に使われる保温して燃料費を節約するための覆いに由来しています。ちなみに日本では気象業務法に基づき、検定に合格した雨量計を公的な気象観測では用いるルールになっています。



雨量計の活躍できるシーンは?



雨量計がどのような用途で利用されるかですが、一般の人でも天気予報の時に使っていることは容易に想像できるでしょう。ゲリラ豪雨の時のような短期間の集中豪雨の場合「1時間に○○ミリの降水量を記録しました」とよく報道されています。また台風などが接近・通過した際にはしばらく大雨の続くこともあって、「この12時間にこの地方ではこれだけの降水量を観測した」という報道も聞かれます。

そのほかにも防災対策として、この雨量計は活用されています。降水量を記録できるこの機械を利用すれば、どの程度の雨が降ったかを地域ごとに観測ができます。ゲリラ豪雨や台風などによる大雨の際には大規模災害の起きることもあります。たとえば川が増水して、堤防が決壊しある一定の地域が水没してしまうこともあります。また都市部を中心として排水溝を巡らせ、大量の雨が降ったとしても排水溝を使って雨水を排出できるようなインフラが整っています。ところが現在夏場などによく降るゲリラ豪雨の場合、この排水機能をはるかに超える降雨が短時間に記録することもあるため、そうなると水が路面にあふれ出てしまって、移動するのに難儀することもあります。そのほかには地下鉄に水が逆流して、電車の運転を見合わせる事態も想定できます。

このような災害が発生する前の段階で、雨量計の降水量を測定していれば今後起こりうる災害が予測できます。川が氾濫するのであれば、周辺住民に通知して避難する対策が取れます。またゲリラ豪雨の場合、道路が冠水する可能性があれば不要不急の外出を控えるように周知徹底することも可能です。

このように災害を予て、早めの対策を講じることも可能です。そのほかにも土木建築やダムの管理、農業など水資源の欠かせない場面でも活躍できる利用価値の高いアイテムです。



2種類に分類できる雨量計



雨量計は大きく2種類の機種に分類できます。貯水型と転倒ます型という2タイプです。雨量計の中でもオーソドックスな種類は貯水型でしょう。貯水型とは貯水ビンの中に雨が降ると溜まります。この雨水を雨量ますというところに流していきます。雨量ますはメスシリンダー状になっていて、目盛りが記載されています。この目盛りを観測することで雨量を測定していきます。

一方、転倒ます型と呼ばれる機種は、その名の通り転倒ますが装備されています。転倒ますは2組になっていて、まず雨水が中にはいると片方の転倒ますのところに貯まっていきます。そしてある程度の量が貯まると、ますが転倒して排水をします。ちなみにこのますが転倒している間にも、雨はどんどん降るかもしれません。その場合にはもう片方の容器が雨水を受け止めます。このように交互にますが雨水を受け止めて、一定の量に達したところで転倒することで機器に雨水をどんどん流していきます。イメージとしては、鹿威しのような要領と思ってもらえればわかりやすいでしょう。

どのようにして雨量を計測するかは、1時間当たりにますが何度転倒したかによって計測できます。ますには一定量の水がたまる構造になっているので、その量×転倒した回数で雨量が求められます。転倒ます型の雨量計は、気象庁や河川事務所のような公共機関で使用されることが多いです。というのも転倒ます型の場合、長時間放置したままでも計測が可能だからです。また遠隔地からモニタリングすることも可能で、山谷ダムのような自然奥深くのなかなか人間がいけないような場所でも雨量のチェックができます。

次の記事へ