土壌水分計の種類と使い方と活用例

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土壌水分計の種類と使い方と活用例


土壌水分計の役割と仕組み



土壌水分計は土の中の水分量を測定する機器で、土壌水分測定器、土壌水分率計などとも呼ばれます。専門的な研究目的でも使用されますが、農業や園芸でも利用されています。作物や植物を育てるときに、土の中の水分量は大変重要な要素になります。作物の種類によって必要になる水分量が変わりますし、季節や収穫時期によっても必要な水分量は違ってきます。

近年は農作物の収量や品質が不安定化しており、その要因の一つとして挙げられているのが異常気象による干ばつです。作物を育てる農業や園芸の分野で、適切なかん水のタイミングを判定するための技術が求められています。取り扱いが簡単で安価な土壌水分計を使った、適切なかん水時期を判定する技術の必要性が高まっています。土壌水分計は、土の中に含まれる水の誘電率を利用して計測する仕組みです。水の誘電率は土の粒子と比較すると、非常に高いため、水の誘電率を計測することで、その土の中に含まれる水分量を知ることができます。計測器にはロッドと呼ばれる、金属製の電極棒があり、これを土の中に埋めることで、周囲の誘電率を計測します。計測器は安価なものであれば、土の中に電極棒を挿して計測し、電池も使用しないタイプも多いので、手軽に土の中の水分量を計測できます。

ただし、ある程度、土の深さがないと計測できませんし、正確に測りたい場合は調整することが必要になります。高価な計測器になれば、電気を使用し、数値がデジタル表示されますので、見やすく、水分量だけでなく、pH値を計ることができる機能も付いています。安価な計測器と同じく電極棒を土の中に挿し込みますが、深く挿し込む必要はなく正確に計測することができます。



土壌水分計の種類と使い方



土壌水分計には水分だけを計測するタイプ、土壌の酸度pH値まで計測するタイプ、また、ポケット型、ペン型など計器の形によるタイプ、園芸用では、果実のメロンや花のランなど栽培種に合わせた水分計、そして、TDR法、ADR法、テンシオメーター法など測定方法による種類などがあります。電池を使用しないで計測する簡易タイプは、一般用として使用されています。

使い方は本体の中を水で一杯にし、土の中に押し込んでおくだけで、土の乾湿状態を測定することができるので、特に知識がない方でも手軽に使用できます。測定時間も1分程度と短く、目盛りを見れば、土の水分状態を知ることができるようになっており、乾いていれば数値が低く、湿っていれば数値が高くなります。また、酸度pH値まで計測できるタイプもあります。防水タイプでないものもありますが、基本的に野外で使用するものなので、防水カバーなどが付いていることが多いです。ただ、近くにスプリンクラーなどがあって、内部に水が入ってしまうと正確な計測ができなくなることがありますので、設置場所に注意することが必要です。

ポケット型の土壌水分計は電池を使用し、現場で使える軽量タイプで、持ち運びに便利です。測定用ろ紙やビーカー、ピンセット、スプーンなどが付属している製品があり、採取した土に含まれる水分を計測することができるようになっています。ペン型の土壌水分計は電池を使用し、こちらも携帯に便利で、現場で使える仕様になっています。先端に電極があり、水の誘電率で水分量を計測するような仕組みになっており、土の中に突き刺して数秒で測定できますので、手軽に計測できます。



土壌水分計の活用例



土壌水分計の測定方法の多くは、ロッドと呼ばれる金属製のセンサー部分を土中に挿し込んで、水の誘電率から計測する方式になっています。ロッドに与える周波数の電磁波が往復する時間から求める方法と、ロッドと周囲の土中の電磁波の反射する振幅の差から求める方法があり、周波数は温度の影響を受けやすく、電磁波は温度の影響を受けにくいとされています。より正確に測定するには測定する土ごとに、計器の目盛りを調整することが必要になります。

土壌水分計は大学や研究機関で、研究目的で使用されるのはもちろん、農業や趣味の園芸でも一般的に利用されています。ハンディタイプの計測器にデータを記録することができるデータロガーを組み合わせることもできますし、据え置き型や防水タイプで直接土の中に埋設できるタイプもあります。具体的な活用例では、農作物の適切なかん水のタイミングを知りたいときに利用することができます。作物の花が開花する前に、計測器を栽培土の株間の真ん中に設置しておきます。土中が乾燥したことが計測器で分かれば、それを目安にかん水を判断することができます。かん水をあまり頻繁にする必要がなく、といってかん水が少なすぎても生育に影響があるという、大豆のような作物を栽培するときに役立ちます。

これまでは農家の方の長年の経験や勘に頼ってきた、かん水する時期の判断を、合理的な方法で見つけることができます。農家の方が高齢化し、作物の手入れが行き届かなかったり、異常気象により長雨や干ばつなどの影響を受けたりしている状況で、活用例はいろいろありそうです。

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